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この冬、薬不足になる?医療業界の現状

この冬、薬不足になる? 医療業界の現状

今日は「この冬、薬不足になる?」をテーマとして、現在起こっている医療現場の現状と

医療業界で営業する立場にいる私の個人的な意見も交えて記事にしてみました。

 

news.yahoo.co.jp

上記の記事は先日のYahooニュースの記事となっています。↑

 

皆さんの中で、定期的に薬を病院や薬局でもらっている人はもしかしたら実際に薬が不足していると肌で感じられているかもしれませんが、普段病院に行く機会がない人からすると、
「なんのことを言っているの?」「薬なんて薬局に行けばどこでももらえるじゃん」と思われる人がほとんどだと思います。

 

しかし、私は薬剤の供給に深く関係している仕事をしているので、現在の医薬品の供給は極めて深刻な状況にあると言えます。

タイトルでは「この冬」と書いておりますが、実はすでに薬は不足しているのです。

具体的にはYhoo記事にも記載があるように、解熱剤(ロキソプロフェン・カロナール等)や咳止め(アストミン・フスコデ・カフコデ等)、去痰剤(カルボシステイン・アンブロキソール等)が特に今不足していますが、他にも色々な薬剤が供給不足に陥っています。

ただ、まだギリギリの状態で、在庫がある薬局にはあるといった状況なので、どこかに行けばもらえます。特に耳鼻科や呼吸器科はそもそも取り扱う量が多いので、優先的に仕入れることが出来ています。しかし、これから冬にかけてインフルエンザ・コロナ・風邪が流行して需要が増えれば、さらにひっ迫する状況が予想されます。

 

そもそもなぜこのような状況が起きているかというと、3年前にジェネリックメーカーの
「小林化工」が製造していた水虫治療薬に睡眠導入剤が混入していたことが始まりでした。

その後、各社の自主点検などで、製造工程で不正が横行していたことが続々と発覚。
「小林化工」は原薬メーカーでもあることから、この会社が業務停止になったことで他のジェネリックメーカーにも大きく影響し、薬品の供給不足が今日も続いています。

また、ジェネリック医薬品は基本的に先発医薬品(例えばロキソニンなど)の半分以下の薬価となっており、その分利益も多くありません。その為、増産体制がすぐには整えることができないのです。

さらに医薬品業界には「薬価改定」という1年に1回(以前までは2年に1回)、医薬品の薬価を定期的に見直す制度があるので、薬価が下がると単純にその分の利益も減少しているので、その利益減少も医薬品の生産体制に影響していると言えます。

このように負の連鎖が何年も続いてきており、いまだに医薬品の安定供給は解決されていない状態にあります。

私個人の意見としては、そもそも「小林化工の不正」も、国がジェネリック医薬品の増産を急がせた結果、企業は自分たちのリソース以上のことをしなければならない状況に陥り、仕方なく行っていたことだと推測できます。その後、次々と他のジェネリックメーカーにも不手際が発生し、供給停止や販売中止が起きているのです。

しかし、今後もこの供給問題は解決の見通しは立っていないので、おそらくまだまだ悪化の一途を辿っていくでしょう。

国は医療費をとにかく削減させたいので、今後も新しいジェネリック品はどんどん発売されていきます。しかし、毎年の薬価改定があることで、当初は利益が取れていた製品も何年か後には赤字製品になり、また製造中止、供給不足に陥っていきます。

 

現在、薬価改定のあり方が再度検討されておりますが、来年も変更なく予定通り行われる予定です。

今回この記事を読んで頂いた方は、現在の医薬品供給の現状を理解頂けたと思います。

もし、病気や怪我で薬をもらう機会があったら是非このことを思い出してみてください。